第二章
第38話
「お祖母ちゃん」
「うん?」
公園の掃除もすんで、焼き芋もすんだあたし達は我が家に戻ってきた。
ヤンキーズはお気に入りの炬燵に入ってすでに寝ている。
遠慮ってものを知らない奴らだ。
年賀状の整理をしていたお祖母ちゃんは顔を上げてあたしを見る。
もう顔も覚えていない父親の母。
「さっき紫の友達……」
紫のことを親しいように話していたから友達だよな?
赤宮彩葉は。
「に会った」
「そうかい」
「間違えられた。そっくりらしい」
「……一卵性双生児だからね」
お祖母ちゃんのもう一人の孫。
「ごめん」
「?何を謝ってるんだい?」
あたしが紫や両親に会っていないように、お祖母ちゃんももう一人の孫と息子に10年以上会っていない。
あたしのせいで。
あたしを立派に育てあげると決めた時に両親とは絶縁したと聞いて。
だから……
「謝るのはあたしの方さ。あんなに薄情な息子に育てて……アンタに寂しい思いを」
アンタを両親のいない子にしてしまった。
と逆に謝られてしまった。
「お祖母ちゃんこそ、謝ることなんてなにもないよ」
お祖母ちゃんがあの時、あたしを育てると引き取ってくれたから
「“ココ”に来てから寂しいなんて思ったことはない」
むしろ両親と紫と居た時の方がずっとずっと寂しかったと思う。
「お祖母ちゃんとコイツらが一緒に居てくれたからね」
寂しいと思う間もなく……むしろ
「喧しかった、ずっと」
「……喧しいだと?」
「オイオイ、一番喧しい奴が何言ってんだ」
「そうだ、そうだ!!海の方がいつも喧しい!!」
な。
寂しい、なんて思う間もないんだ。
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