第30話
『迷子のお知らせです。陽翔くんのお父さん、お母さん。居ませんかーー』
スピーカーON。
声を大にして叫ぶ。
ようやく聞き出した男のコの名前は陽翔くん。
結局足で捜すしかないとの結論に至ったあたし達は、
焼き芋を食べ終わった雷斗とあたしも加わって、大捜索が始まったのだが……。
皆、散り散りに散った中で
何故だ……。
何故付いてくる……。
関係ないんだから帰れや。
隣で陽翔くんを肩車して付いてくる赤宮彩葉にため息をつく。
「アンタ、もう帰っていいよ」
「あ?帰らねぇよ。まだ連絡先を聞いてねぇのに」
しつこいっ!!
もう何コイツ!?
怖いんだけど!?
顔は良いみたいだが、こんなにしつこいとモテないな!!
現にあたしはドン引きだ。
もう一刻も早く、陽翔くんの両親を見つけて彼を引き渡し、赤宮彩葉から逃げる。
よし。
そうと決まれば、とスピーカーをまたONにしたとろこで……
「陽翔!!」
泣きそうな声が陽翔くんを呼んだ。
そして
「ママ!!」
パッと笑顔になる陽翔くん。
走ってきた女の人が陽翔くんに手を伸ばすと、迷わず陽翔くんはその人の胸に飛び込んだ。
良かった。
ホッとして微笑んだところを赤宮彩葉に見られ……。
いつの間にかスマホを構えてやがった。
「可愛かったから、撮らせろ」
「ふざけんな、このストーカー」
「あのっ」
スマホを壊そうとするあたしと、死守しようとする赤宮彩葉の攻防にお声がかかる。
それに少し力を抜いてしまったら、スマホを奪取された。
クソッ。
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