第27話
子供が居た。
まだ五歳くらいの男の子が。
この辺りでは見たことのない子供。
「「……」」
子供と目が合……
スイーーッ。
「っっ」
スイーーッ。
「っっ」
ってないわ。
子供が見てるのは、あたしが持ってるまだ手付かずのままの焼き芋だったわ。
ポカーンと口を開けて、ヨダレまで垂らして。
お腹が減っているのか?
いやしかし、これはあたしのだ。
赤宮彩葉……を見ると最後の一口を食べ終えた所だった。
あたしは食べれていないというのに、ちゃっかり自分は食べてやがった。
イラッとしつつ、風磨・地佳・池崎を見るとこちらもペロリ。
だよね、楽しみにしてたもんね。
最後の砦、雷斗は……
「まだ焼けてもねぇよ」
憎々しげに言われた。
あたしのせいじゃないだろ。
そうなると残っているのはあたしのだけ。
まだあるのはあるけど、焼き中だ。
「これが食べたいのか?」
直接聞けば、素直に頷いた。
そうか、そうか。
だがしかし。
「所詮この世は弱肉強食」
「なにか始まったぞ」
「子供に何言ってんだ」
「……焼肉定食??」
ギャラリーがやかましい。
が、そんなのは無視して
「強ければ生き、弱ければ死んでいく……」
「まぁな」
赤宮彩葉に肯定された。
子供はまだポカーンとしてる。
そんな子供にあたしは手を差し出した。
焼き芋を持ってるのとは逆の手を。
そして……
「最初はグーッ」
ハッとする子供。
そしてすぐ手を出してきて
「「ジャンケンポン!!」」
「「「…………」」」」
固唾を飲んで見守る男達。
男の子は、パー
そしてあたしは
チョキ!!
勝利である。
フッ。
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