第26話

「美味いな」



そう言うのは風磨。



「うまーい!!」



地佳まで。



「美味いッスね!!」



池崎も。



そうかそうか、そんなに美味いのか。



「なんだよっ、生焼けじゃねぇかっ」



雷斗が吠える。



ケケッ。



それはそうだろう。



そんなデカい芋、皆と同じ時間蒸し焼きで焼けるわけないだろ。



バカめ。



しかし……



「オイ、早く教えろ」



「……」



ズイッと顔とスマホを近付けてくる赤宮彩葉。



さっきからずっとコレである。



せっかくのホクホク熱々の焼き芋が食べられない!!



「だから、食べたら教えるって言ってるだろ」



「いーや、食べたら逃げんだろ、お前」




バレてる。



恐るべし、赤宮彩葉。



助けを求める視線を幼なじみ達に向ける……も。



必死。


もう焼き芋にメロメロ。



誰一人、こっちを気にかけていない。



どうよ?


幼なじみ<焼き芋、って。



雷斗に至っては、生焼け芋をアルミホイルに再び包み

「おるぁっ」なんて叫びながらソレを焚き火に投げ入れている。



止めろ、芋に罪はない。


八つ当たりするな。



「オイ、海」



「名前を呼ぶな。呼び捨てるな」



赤宮彩葉と不機嫌な表情で睨み合う。



「さっさと教えろ。俺も焼き芋食いてぇんだよ」



「食えや」




さっさと食えや。



あたしも食いたいんだよ。



「ラインを教えろ」



「嫌だ」




このやり取りが五分くらい続いている。



いい加減に……



「「……」」
























おおん?

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