第25話

公園に着いたとき、勝ち誇っていたのは……



雷斗だった。



あの大きな芋を天に向かって掲げていた。



止めろ、恥ずかしいから。



そして雷斗の足元には四つん這いになって悔しがる地佳が。



お前も止めろ、恥ずかしいから。




「俺がっ、俺が勝ってたのに!!」




地佳が言う。



地佳曰く自転車をこいだのは地佳で、雷斗は悠々と後ろに乗っていたそうな。




「いたそうなって、語りがババァだな。オイ」



「あたしの語りにツッコんでくるな、強奪野郎」



「誰が強奪野郎だ、この野郎……」



「どう見ても強奪だろうよ!!後一歩のところで、後ろから俺の背中を蹴り上げて退かして芋を盗ったクセに!!」



だそうだ。



ジト目で雷斗を見るあたしと風磨と地佳。




「所詮この世は弱肉強食。弱い奴は負けんだよ」




全く悪びれる様子もなく嘲笑ってのける雷斗。



確かに……確かにな。




「なんかカッコいい!!」




ジト目を今度は輝かせる地佳。



お前はカッコ悪いぞ?



今度は地佳をジト目で見る。




「池崎、ありがとうな」



「いえいえ、コレぐらいはどうっことないッスよ!!」




風磨が居残りして焚き火の番をしてくれていた池崎に礼を言っている。



いやいや、焚き火の番は大変だったろう。



だからあたしも池崎に言う。




「池崎も焼き芋、食べていきな」



「えっ!?良いんッスか!?」



「たくさんあるから食ってけ食ってけ」



「アザーッス!!」




喜ぶ池崎は尻尾を振ってる犬みたいで可愛い。



あたしはおもわず池崎の頭を撫でた。




「なっ!?なっ!?って、燕尾高の奴ら何だったんッスか??」




最初こそ照れ照れだった池崎だったが、そんな質問をしてくる。




「「「「…………」」」」




黙りのあたし達。




「俺の……ことを忘れて……んじゃ……ねぇぞ……」




赤宮彩葉が来た。




忘れたりなんて……




「「「……ごめんなさい」」」




誘っておいて、忘れてました。

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