第20話

「んな馬鹿な」




リーダーが言う美人さんというのが、あたし?



そう言って笑うも




「誰が馬鹿だ」



「風磨の隣ってのはいつもお前だろうが」



「風磨が海以外の女のコと並んで歩いているトコなんて見たことがないよ」




三人にそう返されてしまう。



……確かに。



風磨はモテるくせに一度も彼女を作ったことがない。



そして四六時中あたし達と一緒に居るんだから作る暇などない。



ならば本当にあたし、なのか。



……嫌だけど。


………嫌だけど。


…………嫌だけどっ。




「嫌すぎるだろ」




ケタケタと雷斗と地佳に笑われる。



だって嫌だ。



“一目惚れ”だなんて。



見てくれだけで惚れたってことでしょ。



ならばそれは“アレ”でも良い訳で……。




“あたし”を好きなんかじゃないじゃん。



眉間にシワを寄せれば、風磨に鼻を摘まれた。




「んっ」



「んな顔するな。ブスになるぞ」



「最初からブスだけどなぁ」



「海を美人だと思ったことはないねぇ」




幼なじみのヤンキーズは好き勝手言ってくれる。



けれどこれが良いんだ。




「おおおいっ!!火野風磨ー!!答えろや!!」




諦めないリーダー。



メンドくせぇえっ。




「叫ばなくても聞こえてる」




風磨は耳に小指を突っ込み、煩いとアピールのち




「テメェに教えてやる義理はねぇ。さっさと帰れ」




リーダーの質問を一蹴した。




「ハァア!?なんだとぉっ!?」




お?


やるか?


やるならその頭、タコ殴りにして記憶を抹消してや


























「名前は咲坂紫だ」



「「「!!??」」」




突然、赤宮彩葉が口を挟んできた。

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