第10話

「海、双子だったのっ!?」



「あたしもすっかり忘れていたが、双子だった」



「忘」




地佳の質問に頷くと、赤宮彩葉が絶句。



まぁ普通は忘れないよね。




「忘れんなや」




雷斗にツッコまれる。




「ずっと連絡も取ってないし、ましてや一緒に暮らしたのも小さな時のほんの少しだけ」




両親も姉もあたしにとってはこの三人の幼なじみヤンキーズより遠い存在だ。




「海」



「何?」



「悪かったな」




風磨はそう言うと、あたしの頭を撫でた。




「なんで風磨が謝るのさ」




苦笑すると




「良い気持ちではないだろ」




ありゃりゃ。


風磨も思い出したようだ。



お祖母ちゃんに引き取られた時、一番初めに出会ったのが風磨だった。



家も隣同士ってことで多分あたしのことを一番知っているのも風磨だと思う。



心配してくれている風磨に笑う。



真っ直ぐあたしを見てくる雷斗と地佳にも。



なんだかんだと優しいのだ、このヤンキーズは。




「なんの問題もない。あたしにはお祖母ちゃんとアンタ達が居るからね」




この約十年間くらい、両親に、姉に会えなくとも一つも寂しくなかったのだから。



それはずっとアンタ達が一緒に居てくれたから。




「そうか」



「フン」



「一緒に居るのがもう当たり前だよね!!」



「ね」




誰からともなく突き出された拳を




ゴッ!!




四人で強く合わせ笑いあった。

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