第5話

そしてあたし、咲坂海。


真っ黒の長めのショートカット。


全てが平々凡々の紅一点……ってところか。




「紅一点て」



「嘘をつくな」



「うぉい」




風磨に笑われ、雷斗に真顔で言われる。



嘘ってなんだ、嘘って。




「紅一点は俺でしょ?」



「黙れ」



「なんで!?」




髪のことじゃない。



地佳を一言で黙らせる。




「ホラホラ、喋ってないで飯食いな。食わないなら下げるよ」



「「「「いただきますっっ」」」」



「はい、どーぞー」




四人一斉に手を合わせ挨拶してから、サンドウィッチに手を伸ばす。




「しかしなんで焼き芋?」




ヤンキーが焼き芋て。




「お前、忘れたんか?」




忘れた?



風磨に言われ首を傾げる。




「ザルのような記憶力だな」




ザル?



雷斗の言葉に




「猿?」




地佳が聞き返す。




「誰が猿だ」




グワシッ!!



ミシミシミシッ!!




あたしは地佳の顔を鷲掴み力を込めていく。




「これっ、猿じゃない!!ゴリラだ!!ゴリ……」



「誰がゴリラだ」




女の子に向かってなんてことを言うんだ。




「いだーーーいっ!!」




地佳の大絶叫に満足して手を離す。




「ドS」



「凶暴」



「あ?」



「「……」」




風磨と雷斗を睨めば、すぐに黙った。



誰がドSで凶暴だ。



どっからどう見ても可憐でか弱い乙女だろうが。




「乙女て」



「ヘソで茶を沸かす」



「可憐でもか弱くもないやいっ」



「あ……?」



「「「……」」」



「早く食べないか!!このバラガキどもっっ」



「「「「……」」」」




お祖母ちゃんに怒られて、あたし達は急いでサンドウィッチを平らげた。




で?


焼き芋って?

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