第9話 冥途からきたメイド
駅をバックに不気味悪い笑顔を浮かべるゴシックロリータ。
天界からソレをモニターしているDrキリコ。
「なんだろう、類友なのかしら…それらしいところに行くものね」
紅茶を啜ってフ~ッとため息を吐く。
(コッチはコッチでいいコンビだわ…)
モニターには青い蛇とニタニタ笑うゴシックロリータが大写しになっていた。
「で…どっち‼」
ゴシックロリータが青い蛇に尋ねる。
「……アッチね」
「うぇ~い」
バサッとピンクのフリル付の黒い日傘を差して蛇の差した方へ歩き出した。
その方向の先では…。
「せやから…なんちゅうか…こう決め台詞になってへんねん」
「はぁ~?」
「一回、」英語で考えよか? アレやでクロー縛りでいくんやで」
「…クロー……クロー…ゼット‼」
ミリアの思考が明後日に向かい始めた。
「アカン‼ 放つどころか閉まってまう‼」
ハッカの軌道修正が入る。
「違うんだって、このゼットはZのほう、クローZエンド‼」
取り繕って、おかしなことを口走るミリア。
「なんやエンド付いたら、ますます収納感マシマシやん‼」
センスのない飼い主に無い肩を落とすハッカ。
ピンポ~ン♪
ミリア宅の呼び鈴が鳴る。
「アンタちょっと見てきて誰か来たわよ」
「オマエ本気か? ワシ見た目ネコやで、ネコがなんですか?ってドア開けたらどうよ? えっ? ネコ出てきましたけど?ってなるで」
「いいから‼」
バンッと床を叩くミリア。
「何がえぇねん…アカンやろ?」
ブツブツ言いながらも玄関を開けるハッカ。
「どちらさん?」
あまつさえ喋る始末。
「………マジで?」
玄関には黒い少女が腕に青い蛇を巻きつけて立っていた。
そして絶句していた。
「白虎ね…シータ間違えないわコレ白虎よネコじゃないわ」
自信満々の青い蛇、だがシータと呼ばれたゴスロリ少女も気づいている。
「うん…解るわ…ネコ2足歩行しないし…喋らない…」
「誰? 宅配便? ハンコの場所教えたよね~いつまでかかってるの?」
トントンと階段を降りてきたミリア。
シータと目が合う。
「……どちらさま~?」
「………初めまして…シータと言います…あの…」
「ワタシが話すわ」
青い蛇がヌロッと鎌首を持ち上げる。
「自己主張強い蛇だの~」
ギロッとハッカを睨む青い蛇。
「怖っ、ミリミリ睨みよったで、この蛇‼」
「その前に喋りよったんですけど?」
「ソレがどないしてん? ワシかて流暢に喋りますやん、首都が大阪やったら標準語やん」
「あ…あぁ…あの…」
ゴスロリ少女がアタフタしている。
「あぁ‼ うるさい、ワタシは東方を守護し風を司る四聖獣『青龍』コッチがその名誉あるパートナー『忍』通称『シータ』」
「グフッ…フフフ…好きなエナジードリンクはピンモンです」
「ミリミリ‼」
「解ってるわ‼ アタシはミリミリ…いやミリア、このネコ…白虎の飼い主です。まぁどうぞ?」
「ワシは‼…」
とりあえずスリッパを並べるミリア。
「おじゃまします…」
「ワシの自己紹介は?」
部屋に通されたシータと青龍、トボトボと最後尾を歩くハッカ。
「この猫がハッカ、白虎」
なんか単語で話すミリア。
「せや西方の守護聖獣『白虎』や、特に何も司ってません…?」
「そうなの?」
「……なんか…ピンときぃへんわ」
ジーッとハッカを見ているシータ。おもむろに口を開いた。
「…ハッカ? ジャパニーズミントの?」
「センス悪、ククク」
青蛇ニョロがバカにしたように笑う。
「ほなオマエ名前なんて言ううねん?」
「……ニョロ…ニョロニョロしてるから…フフ」
シータは楽しそうだが、ニョロは満足ではなさそうだ。
「オマエかてニョロて、擬音ですやん、うなぎでもえぇですやん」
負けじと白虎ハッカがバカにする。
総じてネーミングセンスは絶望的なので目クソ鼻クソである。
「…ハッカとは…薄荷と書く…」
「えっ? そうなの?」
「バカ露呈ね…所詮こんなのの飼い主だわ」
青蛇ニョロ再びマウントを取る。
「アカン…学力に大きな差があったようやでミリミリ、どないする?」
「うっせぇ‼」
バチーンと白虎ハッカの頭を叩くミリア。
「なんでワシ叩かれるんや‼ オマエの学の無さはワシのせいちゃうやん‼」
「薄いと言う字は……中国では…薄いというより…貧弱という意味…」
ニターッと勝ちを確信して笑うゴスロリ。
「アカン‼ 畳みかけてきよったで‼ 学も無ければ胸も無い、ミリミリどないすんねん、ワシ涙でそうや…見てられへん」
前足でグイッと涙を拭く白虎ハッカ。
PiPiPiPi…
ミリアのスマホに着信が、そういつものあの人Drキリコ
「なに?」
「お揃いのところで丁度いいわ…2人とも準備して‼」
「いつになく緊張してねぇか?」
「霊なんかと格が違うわ…モノノケの類よ…」
「モモの毛?」
「バカ…ムダ毛処理はちゃんとしなさいね嬢を目指すなら特にね」
「モノノケ…フフフ…フフッ…」
漏れて聴こえた『モノノケ』のワードに反応するシータ。
ニターッと笑っていた。
「行くわよシータ‼」
ミリアの部屋を飛び出すシータ。
「出て行ってもうたで…あの黒いネェチャン」
「追わなきゃダメな感じかしら?」
「早く行きなさいよ‼」
「ウェ~い」
ダラダラと家をでたミリア。
「どっちに行けば?」
すでに青い蛇を腕に巻きつけた黒い少女の姿はなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます