第8話 その名はニョロ
とりあえず貧乳の入浴なんざ興味もないのDrキリコ。
とりあえずミリアの決め台詞で満足した。
「JKの生パンは初日の出の3倍って…何基準よ?」
馬鹿ビッチの思考なんか考察する気もない。
「さて…他の子はどうしてるかしら?」
再びモニターに向かうDrキリコ。
「……この子は…まぁ?…怖い子…もう4体目」
モニターには人気のない公園で槍を構えた黒髪ロングのゴスロリメイドが立っていた。
月明かりにテラテラと艶めかしく光る槍がグニャリと歪み
メイドの腕にシュルッと絡みついた。
「ニョロ…いい子ね…フフ」
薄い笑いを浮かべて闇へ消えていった。
………翌日
ミリアとハッカは悩んでいた。
「やっぱ、オマエの爪は、そういう感じなんだよな」
「せやな…なんか手ごたえ感じたわ、やったったって感じしたわ」
(バカは感覚で話す…か)
紅茶を飲みながらミリアとハッカをモニターするDrキリコ。
とりあえず白虎の爪は霊を切り裂き消滅させるようだ。
(今は、それだけ解ればいいか…どうせ実感したことしか理解しないだろうし…バカだから)
土曜日の午前中、しきりにミリアはハッカの肉球をムニッと押して爪をニュッと出したり入れたりして遊んでいた。
ムニッ、ニュッ…ムニッ、ニュッ…
「なぁミリミリ、ワシ考えてんけどな、やっぱ必殺技の名前いるんちゃう?」
「必殺技?」
「せや、この爪でシャッ‼といくときに叫ぶ技の名や、カッコええやん」
「あぁ…ブレストファイヤーみたいな?」
「胸から火ぃはでぇへんのやけどな…」
「でないんだ? 白虎なのに爪しかでないんだ?」
「……ミリミリの胸かて何もでぇへんやんけ‼ バストフラットやんけ‼」
ミリアのムニュッがギューッに変わった。
「痛い痛い痛い‼ すんませんでした、貧乳をイジッてすんませんでした‼」
「口からミサイルとかでないの?」
「オマエ、ワシをなんやと思ぉとるんや? メカちゃうねんぞ、ミリミリかておっぱいミサイルでぇへんやろ? あっ…無乳だから地雷か? 最新式の薄い、ポチッとスイッチついた?」
再びミリアのムニュッがギューッに変わった。
「痛い痛い痛い‼ すんませんでした、無乳をイジッてすんませんでした‼」
「最新式はスイッチとかねぇの、センサーなのたぶん」
地雷談議は置いといて、昼食はオムライスであった。
ムグムグ食いながらハッカのエサ皿にカリカリを入れるミリア。
「必殺技の名前ねぇ~」
やっと白虎の名前を決めたところなのに今度は技名とか、面倒くさいのである。
「あのな、先に言うとくけど前足は飛び出さんのやで」
「ロケットパンチ的な?」
「もっとこう、生身の方向で考えてんか?」
「ペガサス昇竜拳みたいな?」
「うん、方向はえぇねんけどな、混ざっとんねん。そもそもワシペガサスちゃうしな、でも昇る山は間違ぅてへん」
カランッとスプーンを皿に置き、しばし腕組みして考えるミリア。
PiPiPiPi…
「なに?」
「あのね、一言言いたくて」
キリコからの電話である。
「なに?」
「うん、無乳だと腕組みしやすいのねってね」
プッ……
ミリアは無言で通話を切った。
「あのな、虎って入れた方がえぇと思うんや猛虎なんちゃらみたいな」
「モウコ…モウコ…タンタンメン?」
「字がちゃうねん‼ アカン…入山早々、遭難したわ」
「強そうだけどね蒙古タンタンメン」
「ちゃうねん、辛いねん、強くはないねん…いや泣くほどやから強いんかな?」
「アタシ泣かずにいけるけどね」
ミリアは無い胸を張る。
PiPiPiPi…
「なに?」
「あのね、一言言いたくて」
「なに?」
「無い袖はって言うけど胸に関する例えは無いのよ」
プッ……
ミリアは無言で通話を切った。
「猛虎がいいの?」
「白虎でもえぇで」
「猛虎…白虎…なんちゃら波…」
「えぇで、ちょっと登山道に戻ってきたで、でも波はアカン‼ 何もでぇへんから爪しかでぇへんから」
「波…がダメ…」
「切り裂く的なニュアンスでどうや?」
「裂く…斬る…切る? ちょっと英和辞典取って」
「いきなり英語にシフトチェンジかい‼」
PiPiPiPi…
「なに?」
「あのね、一言言いたくて」
「なに?」
「今時、辞典って…どうかなって」
プッ……
ミリアは無言で通話を切った
真新しい辞典をペラッとめくるミリア。
「産まれて初めて辞典を見るわ…」
「マジで?」
「あぁ…そして使い方、謎すぎる…なに?説明書付いてないの?」
「ミリミリ…一回英語忘れよか?」
ものの数分ではあったが辞典を開いたミリア、早々に気分が悪くなったので夕飯まで眠ることにした。
「なんで辞典開いて薬がいんねん…」
どうやら頭痛が襲ってきたらしい。
PiPiPiPi…
「…なに?」
「あのね、一言言いたくて」
「なに?」
「辞典って紙のことで辞書って何でもいいらしいわよ」
プッ……
ミリアは無言で通話を切った。
「ニョロ…ここら辺?」
「あぁ、このあたりで強い霊力を感じる…」
ミリア宅の最寄り駅でゴスロリが電車を降りた。
「四聖獣ってくらいだから、もう3匹いるんだよね…」
ゴスロリは黒い爪で蒼い蛇を撫でてニタァ~っとほほ笑んだ。
ミリアはスヤスヤ寝ていた。
(バカって薬がよく効くのよね~)
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