第98話
父さんと夕方から映画デートの予定があるらしい母さんは、「夢月君、莉苑君…寂しいけどまたね」と名残惜しそうに涙目で出掛けて行った。
いや父さんが純粋に哀れ過ぎるだろ。スキップして行くくらい楽しみにしなさいよ。
「何しに来たの。」
「可愛いお姫様に会いに来たんだよ。」
「…その嘘笑い辞めたら、気味悪いよ。」
「莉苑君、もしかしなくても虎雅とよく遊んでる?口調が彼等そっくりになってきたね。」
「……だって飛鳥と道梨と宵と凱優しいもん。」
ねぇ待ってりー君、一人忘れてるんだけど????
虎雅の総長の名前が見事に抜け落ちてるんだけど????
夢月に図星を突かれたせいか、頬を膨らませて不貞腐れたりー君はクッションを抱き締めた。
「そうだね、確かに彼等は奇想天外な人間ばっかりだから飽きないよね。」
あの強烈な面々を思い浮かべているのか、クスクスと笑い声を漏らす夢月が綺麗な作法で紅茶を口に含む。
女の子なら誰でも見惚れてしまうんじゃないかと思われる彼を、クッション越しに覗いているりー君が目を細めて開口した。
「あのさ、ちょっと前から思ってたんだけど…あんたあいつ等の事普通に虎雅って呼ぶよね。」
「そうだね。」
「という事は、もしかしてあんた自分が麗龍だってとうとう真白に言ったんだ。」
…。
……。
…………え!?!?!?!?
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