第77話
生命力だけは異常にある剣が、あっさりと復活を遂げてりー君を瞳に捕らえ怪訝そうに表情を崩した。
「お前、どっちなんだ?」
「は?」
眉間に刻まれた奴の皺は、津軽海峡くらい深いと見た。冬景色が足りないな。
思わずりー君が柄の悪い声を上げたのも頷けた。だって質問の意味が分からないんだもの。
本当にはぁ?って感じだよ、何の事を言ってるんだ。
「だからよ、今日は普通に男の格好してるじゃねぇか。お前は宵みたいに心は女じゃねぇのか?それとも道梨みたいに見た目だけが女なのか?」
ちょっと待って、自分の仲間の認識間違い過ぎだろ。
宵は心もちゃんと男だろ。道梨だって意図的に女っぽくしてるわけじゃないだろ。
あんたあの二人にこの件で何回ぶん殴られたら理解するのよ。
私の時もそうだったけれど、いつもこの男は土足で相手の曖昧に濁していたり隠している部分に突っ込んでくる。
しかも言葉を選ぶ気配一切なし!分かってたけど!ノーデリカシー人間って事は嫌という程知ってるけど!
「……。」
突き付けられた問い掛けに、口を噤んでしまった従弟に胸が痛む。
良いんだよりー君。私だってちょっと気になってはいたけど、お年頃なんだもん、無理して言わなくて良いんだよ。
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