第60話

声が空気に溶け切る前に、驚愕だと言わんばかりに目を見開いて膝から崩れ落ちた剣。



何処のリアクション芸人だよ、大袈裟すぎるだろ。





「この男が真白の彼氏なんて嘘だと言って神様。」




怪訝な視線を剣に向けているりー君が合掌して天を仰いでる。


ごめんねりー君、こればっかりは嘘じゃないんだノンフィクションなんだ。



私…この男に心底惚れてしまったんだ。





「待ってくれ。」


「何秒?」


「そういう意味の待ってくれじゃねぇ!!!おい麗龍と真白!!!まさか俺達が馬鹿だと思ってたんか?」




俺達じゃなくて、あんただけに思ってたよ。



震える声で質問する剣に、生徒会が揃えて頭を縦に振る。





「心外だ!!!俺は開花の首席だぞ!!!!ふざけんな!!!!」





勢いよく立ち上がって主張する剣に、私の顏はもうムンクの叫び。





「嘘でしょ……。」


「ほんと。」




冷や汗を拭ってポロリと鈴の口から漏れた言葉を拾ったのか、マフィンをもぐもぐしながら肯定した飛鳥。



え!?!?!?!?本当なのかよ…(飛鳥の言葉で初めて信用する人間)






「剣はともかくもしかして僕達まで馬鹿にされてたとか言わないよね?同人誌の餌食にするよ。」




どんな脅し文句なのそれ。



いちごみるくを吸いながら眉間に皺を寄せても可愛い道梨が、私を睨む。




何だこいつ、どんな表情も可愛いとか辞めて貰える?私とキャラ被るんですけど。

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