第59話

「そんな事より何処までが本当で何処までが嘘なの?」




頬杖を突いている夢月が、ボールペンの芯をカチカチ出したり戻したりする音が部屋に響く。



補習を秒で解いて終わらせて来た。その剣の発言に対して投げたと思われる問いに私も高速で同調の意を表すべく頷いた。




そんな私達に、綺麗な顏を顰めて首を捻った男が一人。




「はぁ?全部本当に決まってんだろ。補習の問題なんて余裕で終わらせて来た。」


「おい剣、嘘はやめろよみっともない。男だろ?」


「おい真白、お前はもっと俺を信じろよ。彼女だろ?」





相手に詰め寄ったら、悲しそうに目に涙を浮かべて反論された。



……そういう顔も格好良いとか思っちゃった自分を心の中でぶん殴る。





「え?そんなまさか。剣が頭が良いなんて何かの間違いでしょ…補習を秒で終わらせるなんて絶対誰かを脅迫して答えを見たんだよね?そうだよね?」


「ふざけんな!誰がんな卑怯な真似すっかよ!!!!ていうかお前俺が馬鹿だと思ってたのかよ!!!」


「「「馬鹿じゃん!!!」」」





混乱して目をぐるぐる回す私に、不服だと訴えてくる恋人。



しかし花咲学園生徒会一同の声がぴったりと重なった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る