第52話
勝手にこの人達が生徒会室に侵入する事に慣れてしまったのか、夢月を始めとする面々は、生徒会室でさも溜まり場の如く寛ぎまくっている男達に頬を引き攣らせているだけだ。
そんな中、りー君だけが怪訝な表情で次々に現れた人間を睨んでいる。
「何なのこいつ等。」
「よう、呪怨。お前もいたのか。」
莉苑だっつってるだろ。
あんたどんな耳してんのよ。
眉間に皺を寄せ集めて、不快感を露わにしているりー君が見えないのだろうか、剣が「お前ガリガリだからちゃんと食え。」と言ってマフィンを差し出している。
それお前が作った物じゃないだろ。
「呪怨???その割には不気味な要素ないじゃん。ていうか誰この人。」
今更かよ。
BL本を閉じて、りー君を凝視した道梨が急に顔色を蒼白させた。
どうした、何か漏らしたのか。
「も、もしかして僕しか見えてないの!?!?だからお前呪怨なの!?!?!?」
もう本当に帰ってくださいお願いします。
発狂している顔だけ可愛い男に心からそう思う。
「違う、俺にも見えてる。……もしかして、あんたが剣の言ってた真白の従弟?」
唯一まともな人間がここにいました。
立ち上がってりー君の顔をまじまじと覗いた飛鳥が、首を捻って問いかけた。
「……っっ近い……そうだけど??」
「ふーん、そっか。」
珍しく動揺している彼を余所に、飛鳥は静かに頷いて口角を吊り上げた。
「真白は譲らない。紫陽花だけが敵だと思ったら駄目。」
正々堂々としか言いようのない宣戦布告が部屋に響く。
それを聞いた私はすぐに考えた。
剣が敵とすら思われてない件について。
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