第47話
「なるほど…これはこれは、大変な夏休みになりそうだね。ところで夢月は、今まで必死に本心を押し殺していたのにあからさまに莉苑君に敵対心を燃やすなんて、一体どういう心境の変化があったの?」
それは私も聞きたかった。
りー君が夏休みに私と一緒にいるのは毎年恒例の事だ。
もう何回もりー君との夏を越したけれど、どれだけりー君に嫌味を言われようとも、挑発されようとも、夢月が常に大人で冷静だったから大戦争にはならなかった。
それなのに、今年の彼はどうも様子が例年とは違う。
りー君と顔を合わせる度に、りー君の発言に言い返しているし、明瞭な敵対心を露わにさせている。
そんな王子様の変化に、長年付き添っている親友が疑問を抱くのは不思議な事ではなかった。
「確かに、夢月らしくないな。」
エプロンを畳んでソファに腰を沈めた聖架も、切れ長な目を会長席へと伸ばした。
「…どうしよう…とりあえずBLを読んで心と相談しようかな…。」
こいつは論外だな。
頭を抱えている蘭を見て心で思う。
仕方あるまい、この男は今人生を左右する巨大な問題を抱えているから周囲を気にしている場合じゃないのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます