第48話

蘭以外の視線が生徒会長へと集まっている。





「別に、特に何かが大きく変わったとかではないよ。」





注目の的になっている彼は、空になったティーカップに紅茶を注ぎながら開口した。




「ただ……。」





カチャン



ティーポットがテーブルに優しく置かれた音が響く。




刹那、夢月と私の視線が合わさった。






「ただ、もう自分を偽らずに素直になって、思った事をちゃんと言うってお姫様と約束したから。」



“だから、それを破るわけにはいかないでしょう?”





ジーザス。



まさか私の為だったなんて…。




思ってもみなかった不意討ちに、鼓動がドキドキと早まっていく。




私と夢月の関係は、変わっていないようで大きく変わった。



お互いに被っていた仮面を外して、本心で、向き合おう。嘘偽りなく、素直になろう。




そう病室で約束して以来、私達の距離は以前よりも近くなった気がする。






「お姫様にだけは忠誠を誓っているだけだよ。」




はい、今年度の如月真白流行語大賞いただきました。



口角を上げて、私を視線で射る彼に心はドクンと大きく跳ねる。





「夢月…私すごく嬉し…「コンコン!!!!邪魔するぞー!!!!」」





自分が持っている最大級に可愛い声は、乱暴に開かれた生徒会室の扉とそこから登場した人物によって遮られた。



全くもって邪魔だな!!!!




こんな失礼を働く人間はこの界隈では一人しかいない。




「お、良い匂いだな。さてはステラのお菓子か?」


「聖架って呼べ。あとステラおばさんの呼び捨てやめろ。」




他校の敷地だと言うのに平然と跨いで来たらしいその男は、他の誰でもなく私の恋人の鬼帝剣だった。






ていうかこいつ補習はどうした。

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