第27話

あの…この人…鬼帝剣ですよね?



女を抱きまくって問題ばかり起こしていた、歩く性欲みたいな男ですよね?



虎雅の総長で、西の支配者で間違っていませんよね?





「……もう真白との時間が終わるのかよ。」




ポツリ。



小さく彼の口から落とされた言葉に、胸が脈を打つ。





「次はいつ会えるんだ?」


「……。」


「まだ真白が俺を選んでくれたっていう実感が湧かなくて不安なんだよ。」


「剣…。」





表情を見せないまま、私の肩に顔をくっつけて凭れかかって来る男の真っ直ぐな言葉が耳元に響く。



これがこの男なりの甘え方なのだろう。



きっと、剣なりに精一杯に私に甘えているんだろう。






「真白と…ずっと一緒にいてぇ。」


「……っっ。」






胸が痛い程に締め付けられる。



嗚呼、こういう所だ。





いつも素直で、嘘偽りなく、飾る事なく、自分の感情を真っ直ぐに私にぶつけてくる剣のこういう所が私は好きだ。



強引だけど、優しくて。


不器用な癖に、寂しがり屋で。




そんな剣に、恋に落ちてしまったんだ。






「剣。」


「何だよ。」




私が腕を回した男の背中は、大きくて広い。



この背中に虎雅を背負っているのだから、当然の事なのかもしれない。




暴走族なんて幼稚で頭の弱い底辺な集団だと思っていたのにね。



…まさかこんな美形だらけの楽園だったなんて、わたしゃ聞いてないよワトソン君。

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