第16話

明日から夏休み。




これまで、友達0人だった私にとっては夏休みという単語に大した興奮や期待なんてなかった。






だけど今年は違う。




剣と。虎雅と。それから麗龍と。皆と過ごせるのだと思うと柄にもなくウキウキしている私がいる。




きっと、特別で楽しい夏休みになるんだろうな。





夏の陽射しと美形の汗か……けしからんな、最高だよ夏休み。


想像しただけで、頬がだらしなく緩んでしまう。





「何だよ真白、嬉しそうに笑いやがって。そんな可愛い笑顔を紫陽花に見せんじゃねぇ。」






眉間に皺を刻んで不満を漏らす剣を見ても、ドキドキする。



「可愛い。」好きな男から言われるその言葉が、私の胸の高鳴りを加速させる。






「…楽しみだなって思ったの。」


「楽しみ?」


「うん、皆で過ごす夏休みが楽しみだなって思ったらニヤついたんだよ。何てったって私は今まで友達がいなかったからね。」


「そうだよな、お前友達いなかったんだよな…可哀想に。」


「ガチで憐れむのやめろ???シバくぞ???」





その同情を存分に含んだ目で見るなよ。


目潰ししたろかこの野郎。

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