第8話
夢月に夜道を心配されて浮かれない女がいたら見てみたい。
少なくとも私は音速で鼻の下伸ばすから夜露死苦。
「麗龍の総長が普通に西にいるのってウケる。」
軽過ぎだろ。
ウケるで済ませて良い事なのこれ。
夢月を虎雅の総長の住処に招いた張本人は、呑気に裸体の男達が絡み合っている漫画を広げている。
自重という言葉をこの男には捧げてやりたい。切実に。
「真白、こっちに来て一緒にお茶しようよ。」
「俺と紫陽花の間ね。」
横から伸びてきた手に手首を捕らわれ、そこから視線を辿らせれば夢月と飛鳥がポンポンと二人の真ん中にできた空席を叩いて微笑んでいた。
Oh…これはもしかしなくても両手に花状態。
気のせいかな、この麗しい二人の背景が薔薇に見える。
誰か漫画のトーンでも貼った?
それとも最早薔薇を撒き散らす領域にまで二人が到達したの?(どんな領域だよ)
「飛鳥、このエセ野郎に紅茶なんか淹れるんじゃねぇ。」
「剣のケチ。そんな事言うなら帰って。」
「ここ俺の家なんだが??お前が即刻帰れ???」
物凄い形相で睨まれているのに、全然平気そうに飛鳥が湯気の立っているティーカップを渡してくれる。
「うん、美味しいよ青葉君。」
「本当だ、ちゃんと良い香りが広がる。」
「ふふっ、嬉しい。もっと飲んで。」
夢月と私からの絶賛に、頬を緩めてティーポットを自慢げに掲げる飛鳥がとんでもなく可愛くて頭を抱える。
みんな…。
ここにあったぜ、世界平和。
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