第5話

こんなに騒がしいけれど、リビングの壁に掛けられた時計は夜の10時を指している。



つまり、こいつ等はクソほど近所迷惑だという事だ。






ガタガタガタ



「少し静かにしなさいよ、あんた達こんなに煩くしてクレーム来たらどうするのよ?」


「まずお前が一番煩いよ。」




急に鳴り出した機械音に視線を投げれば、ダイニングテーブルでミシンを高速モードで動かしている人間を見つけた。



何時だと思ってるんだよ、自分の家でやれ。



そもそもいつの間にミシン持ち込んで現れたんだよ、揃いも揃って神出鬼没過ぎだろここのセキュリティーどうなってんの。



口を開けば嘘のようなオネェ口調が飛び出る残念なイケメンの代表格、沖田 宵おきた よいはやれやれと言わんばかりにこちらを見て首を横に振った。




「ブチ切れた主婦を黙らせるのなんて至難の業なのよ?不倫してる事を旦那にバラすって脅さなくちゃなんないんだからね。」


「黙らせる方法が最低過ぎて最高。」





親指を立てて称賛している道梨は楽しそうだからやろうぜと目をキラッキラさせてる。速やかに辞めろ。


この男は性格が酷く捻じ曲がっているからこそ本当にやりそうで怖い。


人に言えた事じゃないけど。





「ここのマンションの主婦、不倫率90%なのよね。相手も把握済みよ。」


「割合高っ。ていうか怖っ。何でそんな情報知ってるの。」


「ふふん、私の情報網舐めないで頂戴よ。」




不敵な笑みを浮かべる宵を見て率直に思う。その能力他で使えよ。



こちとらあんなに闇討ち遭ってた人間達の情報網なんて舐め切ってたよ。

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