第4話

やっと邪魔者が消えたねと私に微笑み掛けるこの男、青葉 飛鳥あおば あすかは私の膝の上に頭を置いた。



太股に触れるサラサラとした柔らかい飛鳥の髪の毛は、少し擽ったい。



でも全然良いよ、美形だから許可。大歓迎。





「真白、何で剣なんかと付き合ったの?」


「剣なんか!?!?おいなんかって何だよ失礼だろ!」


「ねぇ、何で。」


「普通にシカトしてんじゃねぇぞ。」





私の髪の毛に触れて、首を傾げる飛鳥に鼻血が出そうになる。



え、この角度最高だな!?!?



ちょっと待ってよ、これは日本三景の一つに登録決定だろ。






「うーん何でだろうね。」


「もう俺泣いて良いか?」





飛鳥からの問い掛けに天井を仰いで考える傍で、剣が涙目になっている。



顔も騒がしいって何事だよ。




「ただ、剣の事が好きだって思ったんだよね。」




私の答えにたちまち頬を染めて、クッションに顔を隠しながら悶えている剣が視界の端に映る。



何処の乙女だあいつ。




「…そっか。」


「うん。」


「それじゃあ俺の事も好きって思う可能性もあるね。」


「うん…ん!?!?!?」




え、今何て言った?



私の毛先に唇を寄せて薄く弧を描いた飛鳥は、それはそれは美しかった。





「俺の事好きになって、真白。」


「えー早速修羅場?ウケる。」





飛鳥の一言に返事をしたのは、私でも剣でもなく聞き慣れた違う人間の声。





「あ、喉渇いたからいちごみるく取って来て。」


「自分で行け。ていうか何でいるの。」






ソファの後ろから可愛い顔を覗かせた人間は、花が咲いたように顔を綻ばせた。





「皆が僕に会いたいって言ってる気がした。」


「幻聴だよそれ帰って。」




飛鳥の発言をあっさり無視してソファに腰掛けたのはお察しの通り、門倉 道梨かどくら どうり


居座る気満々だなこいつ。



信じられないくらい可愛い横顔を脇目に、道梨が帰る気なんて更々ない事を悟る。




「それで、真白と剣は遂に破局したの?」


「俺達はフォーエバーラブなんだよ黙れゴシップガール。」


「僕は男だっつってるだろうが紅に染めるぞ剣。」




どうでも良いけどX JAPANの曲名縛りのディスリ合いやめろ、笑いそうになるだろ。

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