第10話
「おい、大丈夫か?」
「え、……大丈夫だよ?」
ぼんやりとその光景を見つめていれば。ふと気付けば隣に立っていた立花に、心配されてしまった。
けれど、何でもないよ、と笑うしか出来ない。
失恋した人を想ってるなんて、こんなとこで言える話でもないし。
「……そっか。なんかあれば言えよ」
ぽんっと頭を撫でられた。
立花からのらしくない優しさに一瞬ときめきそうになった。でも、それでもやっぱり私はまだ紫暮くんが好きなんだなあと実感してしまって。
ちょっと泣きそうになった。
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