第7話

「うん、大事に食べるね」


「うん、美味しいから是非!」


「……デート、ってことはさ。彼女、出来たの?」



私は馬鹿だから、変な期待を込めて自分で自分を苦しめる言葉を吐いてしまった。

どうせ、傷付く言葉しか返ってこないのに。



「あはは。うん、彼女が出来ました。クラスメイトの結本さんなんだけど。こんな僕にね。びっくりしたけど、僕も、だったから……あはは、なんだか照れるね」



ほわほわとはにかむ紫暮くんの表情に、胸が締め付けられる。


それから、いいなあって思った。



「おめでとう、でいいのかな」


「う、うん」



ああ。なんて幸せそうな顔。

そんな顔を、私がさせたかったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る