第5話

勉強して、部活して。クラスメイトと馬鹿やって。そんななんてことない日常のある日の部活帰り。


クラスメイトと他愛の無い話をしながら、今日はせっかくの金曜日だしカラオケでも行こうよ!いいね!と言って笑っていれば。



「あれ、雨宮先輩じゃない?」


「あ、ホントだ!紫暮くん、だ」



学校帰りの紫暮くんを見かけた。


声を掛けようかと思って、その姿を探して。その光景に思考が真っ白になった。



私と同じ制服を着た可愛い女の子が、紫暮くんと手を繋いでいた。




「わ。彼女かな」


「かなぁ。ってかあの人結本愛莉(ゆいもとあかり)先輩じゃない?確か雨宮先輩と同じクラスの、可愛くて優しくてって人気だよ」


「……うそぉ」


「あぁー、今日は瑠華の傷心カラオケに変更ね」


「やだぁ」



やっと戻って来た思考だけど、その目はもういなくなった二人をずっと追い掛けてる。足が縫い付けられたみたいに、動けない。



「やだよぉ」


「ハイハイ、泣くのも叫ぶのもカラオケでね」


「付き合うよー!」



いつもならこんな時とっても良い友人を持ったなあと思うんだろうけど、ショックな光景を見た私はそれどころではない。


その日は、カラオケで散々泣いて散々歌い散らしてやった。

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