第65話

そんな事より、躊躇なく私の顔を撫でてくるこの人どうにかしてくれ。



顔はイケメン。滅茶苦茶イケメンの部類だと思う。


それなのに口を開けば出てくる女言葉。


そして腕に抱かれたフリルだらけのワンピース。




色々キャラクターが渋滞しすぎてやしないか。




「はぁ…うっとりするくらい可愛い。こんな逸材何処から連れて来たのよ?」


「あ?道に落ちてた。」


「あんたが拉致したんでしょうが!!!」




何て奴だ。


平然と嘘をついた肉欲獣は、いつの間にか向かいのソファに腰掛けてエロ本を読んでいる。


もう本当にどうして私ここにいるの。帰りたい。




「面白いだろこの女、俺のお気に入り。」



最悪やめて。人生最大の汚点。



「お前全部心の声漏れてんだよ。俺に気に入って貰えて光栄だろうが。」


「死んだ方がマシなくらい悲しい。」


「ちっ…素直じゃねぇな。これが今時のツンデレって奴か。」




勝手に都合の良い解釈するなよ。


ツンデレじゃなくてシンプルにお前が嫌いなんだよ馬鹿。



「まぁ俺はツンデレなお前でも受け入れてやる。何故なら器がでけーから。」


「………。」



この男の自己中心加減にはジャイアンもびっくりだろうな。




「剣が連れて来たなんて信じられないくらい可愛いわね。あんた、いつも顔面が2トントラックに轢かれたような女ばっかり抱いてた癖に、どんな気持ちの変化?」




待って、2トントラックに轢かれたような顔って何、気になるんだけど。


見た事もないけれど、散々な言われように肉欲獣の餌食になった女達に同情してしまいそうになる。




「俺はただ、胸があって、挿入できる穴がある人間を愛してるだけだ。顔で選んでねぇ、博愛主義者なんだよ。」



いや最低だなこいつ。


こんなに顔をキメてるのも腹が立ってくる。




「馬鹿だね剣は、男にも可能性は無限大な乳首と穴くらい備わっているっていうのに。」


「あんたもさっきからずっと何言ってんだ。」




やれやれこれだから子供は。と鼻で笑っている道梨も、普通に頭が可笑しい。



この空間狂いすぎて怖い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る