第58話

「ふざけないで私授業戻るからおろして。」


「飛鳥、昨日俺とゲームする約束してたのに来なかっただろ。」




いや私の話を聞け!!!!




「あ、忘れてた。」


「ちっ、忘れてたじゃねぇ。待ってたのに裏切りやがって。」


「じゃあ今度付き合うよ。」


「もういい、骨折も治ったから女抱く。」




しかも相変わらず最低だな!?!?


やめて欲しい。綺麗な飛鳥にそんな下衆な言葉聞かせるんじゃないよ。





「そういえば剣、骨折してたんだった。珍しいね、剣が怪我するなんて。」


「油断してたんだよ。」



私の話を一切聞かない男と飛鳥はどんどん歩みを進めていく。



逃げたいのにしっかり腕でロックされているせいで身動き一つとれやしない。


何だこいつゴリラかよ。




初めて入った開花高校。


不良校のはずなのに、外だけでなく中まで綺麗だ。




「へぇ、どんな相手にやられたの?」


「それはな…。」




荒々しく扉を蹴破った後、異様な部屋のソファの上に私の身を投げた肉欲獣。



夢月の奥さんになるべくして生まれた私の扱い雑すぎでしょ。


傷でもついたらどうしてくれんのよ。




「こいつだ。」




真っ直ぐ肉欲獣が指を差した先は、私しかいない。




「え…真白?」




目を見開いて唖然とする飛鳥。


はい、絶対引かれた。


美形な飛鳥には知られたくなかった。




「そうだ。このマカロンに骨を折られた。」


「真白だっつってんだろ、お前わざとかよ。」




何キレてんだよマカロン。真顔でそう吐く男を今すぐ地に沈めたい。

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