第47話

どうしよう、私の為だけに腹を立ててくれていたなんて、嬉しいに決まっている。



不安も涙も晴れていく。




「ごめんね、俺の勝手な機嫌で真白を不安にさせて。嫌いになんかならないよ。」


「ううん、嬉しい。でも大丈夫だよ、私悪口なんて平気だから。」


「こっちが耐えられないんだ。大切な子が傷つけられるなんて許せない。」




胸の高鳴りが止まらない。


嬉しすぎて、どうにかなりそう。




「その気持ちだけで十分よ。ありがとう夢月。」


「せめて真白と同い年だったらなって思うよ。」




私だって、夢月と同じ学年だったらなって幾度となく妄想したし願った。



だけど、それもそれで毎日色んな女に言い寄られる夢月が嫌でも目に入って、気が気じゃなかったかもしれない。




「私は本当に大丈夫だから。ね?」



いざとなれば一発二発殴ればいいだけの話だ。


悪口なんてどうってことない。




「何かあったら言って。すぐに駆けつけるから。」




そう言った夢月の顔にはいつも通りの素敵な笑みが戻っていた。



幻滅された訳じゃなくて良かった。


やっぱり夢月には王子様のような笑顔が一番似合う。



頬に熱が集まるのを感じながら、私はゆっくり頷いた。




「それと、一つだけ真白に聞きたい事がるんだけど。」


「何?」


「ずっと気になってたんだけど、真白今日誰かに抱き締められた?」


「へ?」





身体中の熱が異常な早さで引いていった。

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