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第43話

しかも私好みの美形。もうドストライク。




「好き。この感触最高。」



色気のある声。


ミルクティー色をした髪が私の頬に当たる。



嗚呼、私も最高。


ボールを取りに行かされた苛立ちも、この男に湧いていた殺意も消え失せた。




「もっとくっつかせて。」


「全然どうぞ。」





へらりと緩い笑みを浮かべて私の身体に頬擦りする男。



まるで猫みたいだ。


因みに私は、猫より断然こっち派だ。


これが夢月だったらなと願う自分もいるけれど。




「開花の人間?」


「えっと、隣の花咲学園です。」


「…残念。それじゃあずっと一緒にいられない。」



眉を下げて唇を尖らせた姿さえ素敵。



ねぇ、めっちゃ胸キュンさせに来るじゃんこの人。




青葉 飛鳥あおば あすか


「へ?」


「俺の名前。」


「青葉君?」


「うん。飛鳥って呼んで。」


「飛鳥…。」


「うん、飛鳥。覚えて。」




言われなくてももう覚えたよ。


満足そうに目を細める飛鳥の顔が美形すぎて目が幸せだ。




「そっちも教えて。」


「えっと…如月真白…。」


「ん。真白ね、覚えた。」




どうも私は色気のある中性的な美形に弱いらしい。


自分の名前を呼ばれただけなのに謎の幸福に包まれる。




「真白は何でここにいるの?」


「あっ!!ボール!!!!」




飛鳥に魅了されてすっかり本来の目的を忘れていた。


大変だ、どうしよう。




「ボールってもしかしてこれの事?」





そう言って飛鳥が掲げたのは、間違いなく私が探していたボールだった。

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