第39話

今頃夢月は何をしているのかな。



たかが一歳されど一歳。



どんなに夢月の近くにいられても、私は夢月のクラスメイトになる事もできなければ、隣の席から彼を眺める事も叶わない。



「でもあれだな。隣の虎雅の連中も腹立つくらい顔が綺麗だ。くそ、俺もあんな遺伝子さえ持っていればな。今頃養護教諭の彼女と一発二発…。」


「おおよそ漏れてはいけない本音が出てますよ先生。」


「おっとついつい。如月と話していると男友達と話しているようで気が緩んでしまう。」




失礼の塊だなこの教師。


ついついって何よ。


男友達みたい?


やめて私は清楚でか弱い女の子なの。それ以上もそれ以下もない。断じてない。




「そんなに虎雅の人間ってイケメンなんですか。」


「見た事ないのか?顔だけなら生徒会の連中くらいだと思うぞ。」


「そうですか。」


「ここの女子人気が二分しているのも頷ける。」





確かに、あの肉欲獣も顔だけは良かった。



夢月率いる生徒会と同等に人気を博しているのが隣の高校にいる虎雅の人間達だ。



しかし総長があれなら幹部も知れていると思う。



いくら顔が良くても知性も教養も品格もない人間達に熱をあげているこの学校の女子が私には甚だ理解できない。



そもそも暴走族ってダサくないか。





「きゃー!!!!先生、ボールが開花高校に行っちゃいました。」




突然グラウンドに響き渡った声。


一斉に全員の動きが停止した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る