第38話

夢月に好かれるべく、全ての時間を媚び諂う事に費やしてきたせいで友達を作る事を忘れていた。


それに対して悔いが残っているわけではない。




いいの、私には夢月がいるから平気。


…少ししか寂しくない。


そう、少しだけだ。




「如月、お前面白い奴なんだから友達くらいできるだろ。」


「先生、私は面白くなんかないです。可愛いんです。」


「ははは、自分で可愛いとか言う辺りが面白いんだよ分かってないな。」




周りが友達同士でキャッキャとキャッチボールをしている中、私の相手は中年の体育教師。



これは全国のぼっちが共感してくれる事だと思うが、友達のいない人間にとってやたら二人一組の機会を強要される体育の授業は残酷でしかない。




「友達ですか…。私、生徒会にいるせいで僻まれているので友達を作るハードルはSASUKEの全ステージクリアに並ぶ難易度なんです。」


「そうかー、お前生徒会だったか。あいつ等皆キラキラしてるもんな。ああいう男が世の女を掻っ攫うせいで先生は独身なんだ。」


「先生、醜い僻みはやめてください。」




美形が揃いに揃った生徒会は、当然のように学園内の女子人気を独り占めしている。



そんな生徒会に唯一在籍している女子、つまり私は同性からとことん嫌われている。



まぁ実際、私が毎日美形に囲まれて優越感を抱いているのは事実だ。


だから疎まれているこの現実に反論の言葉もない。

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