第17話

こうして彼と一緒に下校するのはこれで二度目だ。



そう、只今四月の下旬。



それなのに、彼と帰れた回数はたったの一度。




それもこれも全部……。





「会長!!!!大変ですまた虎雅の総長が!!!!!」




息を上げ凄い形相で駆け込んできた人物。



その人物の発言に数秒前までの脳内楽園モードが一気に地獄モードへと切り替わる。



「また?今日は静かだと思ったのに…すぐ行く。真白、ごめんね俺行ってくる。何時になるか分からないから先に帰ってて、一人は心配だから家の迎え呼ぶね。」


「え、夢月待って…「気を付けて帰るんだよ。じゃあね。」」




え、え、え、え。


待ってー!!!!!カムバック夢月!!!!!



遠のく背中に思わず叫んでしまいそうだ。


気を抜けばその場で崩れ落ちそうな身体をどうにか支える。



絶望。目の前が途端に真っ暗だ。




「またか。教師達に連絡しないと。」


「虎雅も懲りないな。何が楽しいんだか。」


鬼帝きていが悪趣味暇人なだけだろ。」




げっそりしながら鈴、蘭、聖架の順で各々言葉を落としていく。


私は俯いたまま棒立ちしていた。




出たよ。また出た。



虎雅。


鬼帝。



最近よく聞くこの名前。


頭の悪そうな漢字二文字が並んだそれ等。




いっつもそうだ。


ふざけんな。私と夢月の放課後デート(違う)邪魔すんな。

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