第16話

「僕からしみてれば夢月も休んで欲しい所だよ。今日はもう帰って休みなよ、どういう風の吹き回しか今日は穏やかだしね。」




鈴が言った通り、確かに今日の学校はやけに静かだ。



でも何て言うか、嵐の前の静けさのようで私はさっきから余り落ち着かない。




「うん、今日はもう帰ろうかな。真白、一緒に帰ろう。」




ドキン



ネクタイを緩める姿もたまらなくエロス。



迷う事もなく、当然のように私と一緒に帰るつもりでいてくれてるその言葉が何よりも嬉しい。



待ってた甲斐しかない。今の言葉録音しておけば良かったとすら思う。




「うん。」



腰を上げ鞄を抱える私に、彼も優しく笑ってくれる。




「一緒に帰るの久しぶりだね、嬉しい。ちょっと待って、俺も鞄取って来る。」



資料を棚に仕舞い、ロッカーから鞄を手に戻ってきた夢月にワクワクとドキドキが止まらない。



やっと、やっと一緒に帰れる。


その事実が滅茶苦茶嬉しい。




「良いなー俺も真白と帰りたい。」


「あはは、蘭達の家とは方向が違うでしょ、それに…真白と帰れるのは俺の特権だから。ごめんね、これは譲れないや。」




ドッキューン


ズッキューン


バッキューン




待って、心臓が痛い。


今の三連射何?言葉がうまく出てこない。とりましんどい。




「じゃあ行こう真白。」


「う、うん。」




過呼吸寸前の身体に鞭を打ちまくって平然とした様子の彼と並んだ。

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