第12話

すでに二杯目の美味しい紅茶。



お供にシュークリームとチョコレート。




おおよそ高校生の放課後風景には見えないけれど、これが日常だったりする。




「真白、仕事やらなくてごめんね。」



全くだよ、おかげで私の仕事の量が倍だったよ。次はねぇぞ。



「ううん、平気。蘭と私二人の仕事だもん。明日からはお願いね。」



本音は何処へやら、私の口から吐き出される言葉に男の視線が上昇する。



改めてきちんと見ると、本当に鈴とよく似ている。当然なんだけど。




「う、うん…頑張る。」



視線を泳がせて照れたように頷いたこの男の名前は宮園 蘭みやぞの らん。私と同じで生徒会書記をしている。そしてお分かりの通り鈴と蘭は一卵性双生児。




「優しいね、真白は。」




鈴が感心したように呟いた。



優しい王子様の隣に立つには優しいお姫様でいなくちゃいけない。



そうでしょう?




「そんな事ないよ。」



謙遜だって忘れない。




「いや、真白は優しい。お姫様みたいだ。」


「うん。他の女達なんてギャーギャー煩いだけ。」




続けて聖架と蘭から放たれた言葉。



そりゃそうだ。頬染めて彼に媚を売るあんなブス達…間違った女の子達と同じになってたまるものか。




全ては王子様を落とす為。


王子様のお姫様になる為。




私、如月 真白きさらぎ ましろは今日も王子様の為だけに、素敵な女の仮面を被る。

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