第9話

エプロンを畳んで、隣に腰かける男にすかさず紅茶を淹れる鈴は、本当によく気が回る人だと思う。



聖架せいかの作るお菓子、私大好き。」



その辺のケーキ屋で売っている物よりは確実に美味しい。


私の言葉に耳を赤くさせた男は、顔を逸らしながら頷いた。



「いつでも作る。真白の為なら。」


「ありがとう。」




そんな彼の名前は、櫻木 聖架さくらぎ せいか。生徒会会計だ。





「本当だ、今日も美味しいよ聖架。」




そして向かいのソファでシュークリームを食べている鈴が、生徒会副会長。



この無駄な設備が揃った部屋は、この学校の生徒会室だ。




優雅で穏やかな空間。



それを切り裂いたのは。




「真白!!!駅前のチョコレート買って来た!!!!」





勢いよく開いた扉と。


飛び込んできた一人の男だった。

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