第6話

全ての授業が終わり、放課後を迎えた校舎はやけに静かだ。



ソファに冷蔵庫、そして何故かキッチン。



普通の教室よりも特別仕様になっているこの部屋は、多忙な彼らが少しでも癒されるようにというせめてもの気遣いなのだろうか。





真白ましろ、そろそろ終わりそう?」




パソコンの電源を落とした私は、自分の名前を呼んだ主へと顔を向けた。



それから首を縦に振る。




「うん、今終わったよ。」


「さすが、仕事が早いね。」




穏やかに微笑んで紅茶を差し出してくる人物に、私も口許を緩めて見せる。




「少しでもお役に立ててたら嬉しいけど。」


「十分だよ、去年まではうちのがさつな片割れだけが担っていたから仕事に穴が多くて大変だったんだ。」


「ふふっ、なんだからんらしいね。」





温かい紅茶を受け取って、ふーふー息を掛けて口に運ぶ。



否、ぶっちゃけ本当はあんまり熱くないよ。


ただふーふーした方が可愛いじゃんね。



作業に没頭しすぎて喉が渇ききっている。


一気飲みしたい欲望を抑え、少しずつ上品に飲んでいく。




りん、紅茶美味しいよ。ありがとう。」


「どういたしまして。」





整った顔に少し長めの耳に掛けられた黒髪。


優しく目を細めた宮園 鈴みやぞの りんは、学校の女子から人気がある。



それには頷ける。だって顔が綺麗だから。



…当然彼には及ばないけれど。

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