第5話

王子様は勿論モテる。



中学の時なんかは、彼の周りをはびこる雌豚…じゃなくて害虫…じゃなくて女の子達に何度も不安で心を曇らせた。



誰にも盗られたくない。



私だけの王子様。



誰よりも王子様に似合う女の子になりたい。



私だけが、彼のお姫様になりたい。





だから私は、ひたすら己磨きに時間をかけた。



彼に好きになって欲しいから。


彼にいつか愛されたいから。




血反吐が出そうになっても、その一心で耐え抜いた。




女の子らしくない自分の性格を隠し、世の男達が理想とする女の子を演じる。





いつか彼が私をお嫁さんにしてくれると信じて。



いつか彼が私をお姫様にしてくれると信じて。





だからお願い、私を好きになって王子様……。

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