第91話

「…すみません、巴衛さん。美織さんも…コチラの事情に巻き込んでしまって」


「そうだね。でも分かってて入ったの私らだし?

…2発目止めてくれただけでも助かったけど」


申し訳なさそうに、コチラに頭を下げてくる篠宮だけど、私は気にしてない。

頬に湿布を貼ったから、冷たくて気持ちいい。



「もう美織さんは帰っており、巴衛さんはまだ帰ってないみたいだったのでこれから貴女を迎えに行って、倉庫に行こうかと思ってたんです」


「…なんで?」


「…最近、美織さんは元気なくて、巴衛さんはイライラしてるのが気になりましたから。志都もその事で悩んでる様子でしたので、もう一層の事本人に聞いてしまおうと思いまして。…先程の内容が理由、でしょうけど」



真面目な顔してこちらを見てくる篠宮を見つめ返すが、私の方が先に目をそらしてしまった。



「…と言うかですね、そう言う事は早く言ってください。

言ってくれなくては、守りたくても守れないものがあるんですよ、僕等でも」


苦笑した篠宮をじとりと見て、溜息が零れた。



「…とかなんとか言って、様子見してたくせに?」


キョトンとした篠宮が、何の事ですか?なんてわざとらしく笑って聞いてくるから、


「何でもないよー?」


こちらも負けじとニコリと笑って返してやった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る