第90話

何処に行くのかと聞けば、保健室だそうだ。


溜まり場で手当しても良かったけど、保健室の方が近いから保健室にするそうで。



保健室に着いて椅子に座らせれ、棚から消毒液を取り出した篠宮は「染みますよ」と言って綿をひたひたと頬に当ててくる。



「ったぁ…!冷たい…っ」


思わずギュッと目を瞑って、ひりひりとした痛みに耐える。




「詳しく聞いていいですか?というか聞きますね。

…何故、隣校舎へ?」


「あー、えっと…」


美織の泣き顔を思い出して吃って、でも、原因にどうにかしてもらわねばなるまいと考えて、篠宮に話す事にした。


「…はぁ、まぁ私もそろそろ話したかったし。

そろそろ限界だしなぁ…


美織には止められてるんだけど…────」




それから、私はイジメられてる事を話した。

恐らくあの人たちが主犯だろうと。

美織が「迷惑を掛けたくない」と心配してたから黙ってたと。


美織が昔ちょっとイジメられてて、それが原因で、嫌われないためには自分が辛くても耐えるのを惜しまない子であると、少し感覚がズレてしまってる子なのだと話した。


いやまぁイジメの件はその頃の美織の話をあまり聞かないから実質どこまでか分からないけど、母さん…あのババアにはとても酷い事をされてて、かなり自分への自信が無いのを私は知ってる。

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