第88話

まぁ、こんな事言われたら彼女たちも腹立つわけで。

カッと顔を赤く染めた女子達の1人が、私の頬を叩いた。


「このアマ…ッ!!!」


パシ、と乾いた音が響いた。

あー、結構いいビンタ。

音に遅れて、頬がジンとしてくる。



「…気に食わないとスグ手を出すんですか?ガキじゃないんだから…」



呆れてしまう。ホントにガキみたい。

“してはダメな事”って、子供でもわかるわ。



ホント、


「くっだらない」




ついつい鼻で笑ってしまった私にムカついたであろう彼女らに、もう1発叩かれそうになる。


しかし2度もくらういわれはないと、次は止めてやろうと片腕を上げる。




だが、目の前に振り降ろされた手は、




「…何をしてるんですか?

穏やかじゃありませんねぇ。…ね?巴衛さん」


やって来た、篠宮により止められていた。



「あれ?篠宮だ。…どーしたのさ?」


「どうしたもこうしたもありません。

たまたま廊下で見つけて、この時間に貴女が1人でコチラの校舎に向かうのを見かけましてね。不思議に思い追ってみたのです。


そしたら、何故か叩かれてましたからねぇ…。



そりゃ、“姫”の貴女に何かあれば僕達は守らないといけませんから、ね?」



わぁ、最後の一言に威圧がたっぷりだわ。こわ。

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