第79話

「…っと、まぁアンタらの総長はそう言ってるけど。どうすんの?他の皆さんは」



先程まで静かだった巴衛さんはそう言いながら、志都の傍にいる美織さんの方まで歩くと、志都と繋いでいた手を話させ、救うようにその手のひらを包む。


それから、数歩。美織さんの手を引いて歩いて、彼らの前に立つ。



そして、巴衛さんは目の前を見つめ、笑う。


壮観だろう、様々な髪色のヤンキー、ピアスに入れ墨にタバコに、ガラの悪い男たち。

それらを前に微かに怯えた様子の美織さんと、それを守るようにしっかりと支える巴衛さん。


ふ、と吐息が笑う音がして。

巴衛さんが口を開く。



「初めまして、自己紹介が遅れました。

私は城山 巴衛。この子の双子の姉です。


別に守ってもらおうとして姫になった訳じゃない。


でも。

この子の傍に居るために、私も姫になった。


いきなり守れと言われて困惑するとか、警戒するのは分かってる。よろしくしたくない奴は言って、相手するから。


ああ、勿論拳でとか言わないでよ?私はか弱いJKなんだし。やるならトランプとかで、ね!

乗り掛かった船ってことで、目一杯遊ぶつもりだから。よろしくね〜」




それを聞いて、きょとんとする皆さん。

…そして、それに続いて美織さんも言葉を発する。



「あ、あの、私は城山美織です!!

巴衛の双子の妹、です!


私は、その。馬鹿だし弱いし…ぶっちゃけて足手纏いだと思います。

でも、榊君と……榊君の大切な仲間である皆さんと、もっともっと、仲良くなりたくて!お友達になりたくて…!

だから、姫になりました!



…えぇえと、よ、宜しくお願いします!」




少し震える声で、それでもハッキリと…

臆することなく、蒼虎の皆の目を見て

言い切った美織さん。

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