第7話

そして、私と美織だけの二人きりになって静かになった教室。



「だ、大丈夫?美織」


恐る恐る声を掛ける。


この言葉をかけるのはかなり勇気がいった。


だって、美織とはちゃんと会話をした事が無かったのだから。怖くて、怖くて。どうしたらいいのか分からなくて。


それでも心配だったから。




「…んで、」


「え?」




「何で、助けたの!!」


ぐわん、空気が揺れた。



自分の目がぱっと見開かれるのを、

美織の目が私を睨みつけるのを、


どこか他人事に見ていた。



「私なんて嫌いなんでしょ!?


だから、いつも私のこと無視するし、遊んでも話してもくれないんでしょ…?


それなのに、なんで、今?

今更…っ!!」



ぐちゃぐちゃに泣きながら、それでも腹の底から怒鳴っている。“感情”を私にぶつけてきた美織。


それに私は目をぱちくりさせて、じわじわと言われたことの意味を理解していく。


そんな姿に、私もつられて叫んでしまう。

苦しいのは美織だけみたいな言い方に腹が立って。苦しいのも我慢してるのも、美織だけじゃないんだって。



後から考えると完全に八つ当たりだけど、私も苦しかった。

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