第74話

蓮が落ち着いてから、2人はホテルを出た。

調べたレンタルショップまでは、歩いて少ししたところにあった。

手続きを済ませ、車を借りるとそのまま昼食を食べに行く事に。

車を走らせていると飲食店を見つけ、そこで食事を済ませた。


「このままホテルに戻るのもあれですし、ドライブでもしましょうか。

 折角ですし、海の方に行ってみましょう」


椿の提案に、助手席に乗っていた蓮も頷く。

車は沿岸沿いを走っていく。

午後を過ぎていたが、道路はほんのり混んでいた。


「海の家が沢山ありますね。

 平日ですけど、やっぱりお客さんが多いですね。

 ちょっくら海に入ります?」


「水着持ってきてないじゃん」


「あたしはこんな事もあろうかと、着替え一式持ってきてますが」


「用意周到過ぎんだろ!?

 てか、私は持ってきてないし、そもそも海には入らんぞ」


「諸々ご安心下さい。

 海に入らなくても、浜辺で海を眺めるのもありですって。

 よっしゃ、車停めて行ってみましょう」


「ちょっ、おいぃっ!」


車を駐車場に停め、海の家に行き、着替える事になった。

ロッカールームに向かうと。


「お、ちょうど人もいませんね」


椿は蓮の方を向くと、指をパチンと鳴らした。


「うん、これでよしっ」


「え?」


蓮は近くにあった鏡を見て驚く。

何故自分は水着姿なのだ。

ご丁寧にサンダルまで履いている。


「おいいいっ、何で私は水着姿なんだよ!?」


「そんなん、魔法でちょちょいですよう。

 あ、ラッシュガードは必須でしたね」


再び椿が指を鳴らすと、蓮にラッシュガードが纏う。


「じゃあ、あたしも着替えてくるんで外で待ってて下さい。

 あ、お店でパラソルと浮き輪とレジャーシートを借りといて下さいね。

 では、後程~」


小さなサコッシュを渡され外に出された蓮は、自分の姿を改めて見てみる。

水着はタンキニだったのは幸いか。

上は白のタンクトップで、下は黒と緑の短パン。

ラッシュガードはグレーだった。


何でこんな事に…。

と思いつつ、頼まれたものを借りる事に。

サコッシュの中には小銭入れが入っていて、中には一万円が入っていた。

これを使えという事か。


一式を借り、近くにシートを広げ、パラソルを立てた。

その後お茶を二本購入し、椿を待った。

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