第3話

ぼんやりと湯船に浸かり、持ってきていた携帯で動画を観たりして。

おすすめはろくなもんはないな、と思いながらも観てしまったり。


風呂から上がって、着替えて、髪を乾かして。

適当にスキンケアをして、やっと冷蔵庫の酒とつまみに辿り着く。


缶を開け、飲みながらリビングに戻り、ベッドの端に背を預けながら、テレビをつけた。

深夜は面白い番組はやっていない。

見慣れたお笑い芸人が、大袈裟にリアクションをしたり、騒いだり。

少しだけ観てたが、煩わしくなったから消した。


そういえばと、テーブルに置いた十字架を手に取った。

明るいところで改めて見てみる。

傷もなく綺麗で、新品のようにも見える。


持ち主はどんな人物だろう。

宗教に熱心な人なのか、ただ単にお洒落アイテムとして買っただけなのか。

まあ、そんな事はどうでもいいんだが。


明日は特に用事はないし、溜まった洗濯物を洗わないと。

掛け布団もそろそろ干さなきゃ。

地味にやる事があった。


飯も買って来ないと。

夕方に買い物に行けばいっか。



つまみを食べつつ、酒を飲んで、真夜中を気ままに過ごす。

1人は、独りは気楽だ。

誰に、何に気を遣わなくていい。


開けていた窓からふわりと風が入ってくる。

暖まった体を冷たく撫でるから、心地いい。


つまみを食べ終え、酒も飲み干してしまった。

台所に向かい、煙草を吸えば、疲れと程好い酔いが、ゆっくりと押し寄せてぃた。


そろそろ寝るかな。

休みの前の日は、もう少し起きているのだが、気怠さには勝てなかった。


歯を磨いて、部屋の電気を消して。

ベッドに潜り、枕に頭を預けた。


見慣れた天井を眺めながら、先程の逢瀬を思い出す。

ただ『セックス』をするだけで、愛も何もない行為。

実にシンプルで、それでいて淡白。

解りやすすぎるから、自嘲的に笑った。



満たされる事のない心と体

いつか、満たされる時がくるのだろうか



馬鹿馬鹿しい。

柄にもない事を考えてしまった。


もう寝よう。

きっと疲れてるんだ。

そう思いながら、目蓋を閉じた。


待ってましたと言わんばかりに、眠気がやって来る。

そのまま身を任せる事にした。

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