第73話
この人が詐欺師である昴晴先輩の友人だという事実を決して忘れてはならない。
「もう霰ったら悪戯っ子なんだから。」
私達の会話を盗み聞きしていたらしい昴晴先輩が、唇に弧を描いている。
すぐに私は思った。「悪戯っ子」そんな可愛い表現で済まされるべきではないと。
「任せて、親友の僕が効果の高い眠剤を教えてあげる。」
「親友なら犯罪が起こる前に阻止して下さいよ、何平然と助太刀しようとしてるんですか!!!」
全く底なしに悪い人間だ。
抗議を申し立てる私に対し「だって面白そうじゃない」と慈愛の欠片もない利己的な発言が投下される。
どういう生き方をすればこんな悪党になってしまうのか。甚だ疑問である。
「縄で縛ったら、時雨ちゃんの美しいおっぱい様もくっきりじっくり拝めそうだもの。」
「私利私欲妖怪め。」
「強そうな命名をありがとう。」
くそう!!!何を言ったって余裕な笑みで返されてしまうではないか。
少しも相手に打撃を与えられている気がしない。手応えゼロである。
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