第63話

一見すると奇妙な光景に見えなくもないが、彼女達の話題を攫っている「COLORs」が、十代からの絶大な人気を誇る高校生三人組のバンドだと言えば、彼女達が一様に乙女な顔をしているのも納得できる事かと思う。



アイドルに負けずとも劣らない端麗な容姿の三人が揃っているだけでなく、楽曲全てを自分達で手掛けているらしい。それも、リリースする楽曲は必ず売り上げランキングに入るのだから、人気が出るのも必然的であろう。




容姿端麗でも、堂々と性癖を晒し追究している何処かの不埒な組織とは大違いという訳だ。


冷静に考えてみると、逆にあそこまでの圧倒的な顔面偏差値を有していながら、誰からの支持もなく寧ろ煙たがられている性吐会にはある意味で脱帽させられる。




「よくもまた、あれだけ顔の良い変態が揃ったものだ。」




天の悪戯に違いない。


そして忘れてはならないのが、私もあの連中の一員となってしまったこの惨憺たる現実である。



自分の置かれた絶望的な状況を客観的に見ただけで泣けそうだ。私はどうしてこんなにも運に見放されているのだ。




近所の由緒ある寺に身を清めて貰う事も視野に入れた方が良いかもしれない。


あれこれと巡らせていた私の思考を邪魔したのは、いつも以上に酷い廊下の喧騒だった。

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