第62話
つい一日前まで、私もあのグループの中にいた。
それなりに話を合わせて、波風立たない様に立ち振る舞っていたつもりだ。
そんな私の可愛い可愛い努力を、三匹の子豚の藁の家を吹き飛ばす狼の如く一瞬で消し去った天文昴晴の罪は大きい。裁判長が許そうとも私は許さない。
畜生、あの男め。考えれば考える程昴晴先輩の悪事のみで私のみが災難に遭っている気がしてならん。
「いただきまー…あっ!見て見て、
大して空腹を訴えていないからか、独りぼっちだからか、頬杖を突いて廊下の雑踏を観察していた私の意識が突然上がった黄色い声の方へと逸れた。
切り替わった視界で捉えたのは、頬を仄かに上気させてスマホの画面を見つめる女子生徒。
彼女は昨日まで一緒にお昼を共にしていた内の一人である。
「本当だ!しかも
「ちょっ…
「メンバー全員同じ高校なんだっけ?良いよねぇ。」
「でも噂じゃ黒銀君って恋人いるんでしょう?しかも幼馴染で超可愛いってCOLORsと同じ高校の人が情報流してたよ。」
一人が開口したのを皮切りに、続々とスマホ片手に言葉を落としていく女子生徒。
皆が頬を緩めて、うっとりとした目を画面へと向けていた。
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