第61話

さてまだ五月にもなっていないのに、私は学年で孤立した事になる。


本日より昼休みを共にしてくれる人間もいなくなるであろう。




「また孤独になってしまった。」




群衆に溶け込むのが意外と困難なのか。


はたまた、私が集団の一部になる才能を欠いているのか。


それとも単純に私の不運が強いのか。



圧倒的に一番後者だな。そうに決まっている、昨日までは確実にこの教室に馴染めていた自信があるんだもの。


波風立たない凪の状態で平穏に高校を卒業しよう。そんな細やかと思われた私の目標は、死角から現れた刺客によって抹殺された。




ある程度孤独で生きるしかないと腹を決めた頃、昼休みの始まりを告げる鐘が鳴り響く。



それを待ってましたと言わんばかりに一斉に席を立った生徒が、昼食を買いに出かけたり、弁当を持って友人と机をくっつけたりと体育の授業では求められても決して見せぬ機敏な動きを披露する。




男子の事情は知らないが、昼休みの女子は恋の話と、噂話、それから巷のイケメンの話題で持ち切りだ。



飽きぬのか。そう思う事だろう、実は私もそう思うし、もしかすると私と同様の感情を抱いている人間もいるのかもしれない。




カースト上位の人間こそが政権を握る。それが女子の世界の暗黙の了解だ。


皆本心で話しているかもしれないし、本心を押し殺して話を合わせているかもしれない。




ただ一つ確かな事は、誰もが孤立したくないと願っているし、省かれたくないと望んでいる事だろう。

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