第54話

散々であった。


何がと問われれば、全てだと答えようではないか。実際全てにおいてことごとく散々だったのだ。



まず生徒会だと思って希望表を出した先が、まさかの性吐会であった事。



天文昴晴という男は無駄に信頼感の厚い容姿を裏切った華麗なる詐欺師だった事。



妹が天才子役という爆弾発言を唐突に投下した雷知先輩。



おっぱい星人を撲殺する為に机の下へ潜り込んだ霰先輩が、十年もの月日をかけて収集した美脚切り抜き全集なる気持ち悪い代物をあっさりと見捨て、有り難くない事に私の脚に惚れるという不運にも見舞われた。



私の脚への執着心を燃やす変態から走って逃れた先で目撃した、人形二体と熱い抱擁を交わしていた最終兵器。




あの後、悪の根源である昴晴先輩に忌まわしい視聴覚室へと戻された私は、性吐会の活動についての説明を聞かされた。


しかしながら、一ミリも記憶に残っていない。




「時雨、時雨、脚舐めたい。」


「誰かこの人引き取って貰えませんか。」




舐め回すような霰先輩からの視線を、自らの脚に受け続けていたのだ。


その状態で説明を熱心に聞ける程、私の精神は図太くない。性吐会の面々と同じ扱いだけはやめて欲しい、切実に。

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