第53話

怠惰に満ち満ちた私的薔薇色の高校生活。


それを実現する為だけに進学先も選んだ。読者諸君にどう見られているかは判然としないが、こう見えて私は朝に強い。



如何ほど強いかと訊ねられれば、且つて漫画誌上最強の戦闘力だと呼び声の高かったドラゴンボールのフリーザに匹敵する事と思う。



兎に角朝に強い事だけが取り柄だと言っても過言ではない私は、理想郷となるはずだった高校へ一時間半の通学時間を掛けている。


電車に乗車している間は眠れるし、何より惰性に彩られた薔薇色の高校生活を掴み取る事が最優先なので長い通学時間もさほど苦ではなかった。




現在四月下旬。


これまで順調だったはずの薔薇色の高校生活は、一ヶ月も待たずして木端微塵に粉砕された。




「疲労困憊だ。」




揺れる電車内。着々と近づく高校は理想郷であったはずなのだが、すっかりディストピアつまりは地獄郷へと変わり果ててしまった。


人生計画通りには進まないとは言うけれど、まさかあんな障壁が襲い掛かるとは誰も想像できぬまい。




それもこれも、あれもこれも、あっちからこっちまで、全部全部あの性吐会などという不埒で卑猥な組織のせいである。

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